「that's why god made the radio」 / The Beach Boys

「That's Why God Made The Radio」/The Beach Boys
近年のBrian Wilsonの作品は本当に素晴らしく、心身共に充実している様子が音から感じとれた。体型が太くなりすぎているのは、もうちょっとなんとかしてほしいものだが。
そんな中、今年の2月に発表された来日公演。
ブライアンがビーチボーイズとして復帰しての来日。これは絶対にいかねば!と思った数ヶ月後に発売されたニューアルバム。
まさか、この面子で新作が聴ける日が来るとは。
「正座して聴きます!」とは正にこれですよ。
10年位前に「アイ・アム・サム」って映画があって、「始まって5分でもう泣ける」って評判を聞いて、「そんな胡散臭いものいいわけねぇ!」とか言っていたけど、このアルバムは1曲目のイントロからもう、涙が溢れそうになってしまったぞ。
正確に言うと、名盤の予感を十分に思わせてくれるイントロなのです。そして、それに続くアルバムタイトル曲にしてシングル曲。これがまた素晴らしい。
ブライアンの曲は短い小節で何度も転調をしながら進行するところが好事家達の心をガッチリキャッチしている理由のひとつでもあるらしい。学理的な事はよくわからないが、ポップソングを構築するに当たって、他ではまず聴けない特殊な構造である事は感じる事は出来る。何度聴いても飽きない事や、聴く度に味わいが深くなるのはこういった事に裏打ちされているからなのかな。
それにしてもなんて瑞々しい声だろう。これが平均年齢69歳の声とは。
ブライアンは70年代に一度声を壊して以降は、ちょっと違った味わいになったが他のメンバーは、特にアル・ジャーディンなんかはホントに若々しい。ハーモニーともなれば、全盛期とまったく変わらない美しいものが聴ける。
全曲、文句なく素晴らしいが、特に良いと思ったのが「From There To Back Again」。
荘厳で組曲風なところが凄く「Surf's Up」を彷彿させる。アル・ジャーディンのVoも非常に伸びやかで心地良い。
続く「Summer's Gone」もタイトル通りの過ぎ去った夏をイメージさせるセンチメンタルな曲。これまた良い。目を瞑って聴きたい。
歌いだしからサビまでの流れに、メロディで作られる物語の深みを感じる「Shelter」も好きだな。
目を閉じると、自分の空想内のカリフォルニアの情景がいっぱいに広がる。行った事なくてもね。
大袈裟でなく、音楽の持つ力の素晴らしさを改めて教えてもらえた。3年前にこのブログでBrian Wilsonの「Lucky Old Sun」の感想を書いて、その中で「こんな音楽をもっと聴いてみたい」と言ったが、やはり同等のものは同じ人、いや人達でないと出来ないか。
とにかく、こんな素晴らしい作品に出会えて幸せです。
明日の来日公演が本当に楽しみすぎる。こんなにライヴを観るのが楽しみなのは、10年前にフジロックで初めて観たニール・ヤング以来だよ。
スポンサーサイト